靴下は今夜も宙を舞うーゆるくてディープな知的障害者グループホームの日常

著者:生活支援員95(キューゴ)
編集協:Shizu/申ももこ
定価:1,870円(税込) 本の種出版(tel 03-6425-8860)

JDSニュースでも、大きなテーマとなっているのが「成人期の居場所」。その選択肢のひとつに、グループホームがあります。この本は、グループホームの支援員である著者が出会ってきた利用者さんの実際にあったエピソードが描かれたエッセイです。支援のしかたについて、発達障害や知的障害のある人とのかかわり方について、専門用語の解説コラムも交えながら書かれています。

第4章「グループホームは楽しいトラブルだらけ」には、人間味のある、くすっと笑ってしまうエピソードが紹介されています。その中のひとつ「こだわり出したら、止まれない」には、こだわり行動についての解説があり、30代のダウン症のある男性・小竹さん(仮名)が登場します。小竹さんの「こだわり」は、週末に実家に帰るとき、抱えきれないほど大量の衣類を持っていきたがること。でも、なんとか説得して、カバンの中に納まるだけにすることになりました。ある週末、荷物はカバンひとつだけ、のように見えたのですが、よく考えたね!という方法で衣類を運ぼうとしていたのです。続きはぜひ、本で読んでください。

多くのこうした知的障害、発達障害のある人のエピソードを、くすっと笑ったり、なるほどと感心したりしながら、安心して読めるのは、著者が利用者さんたちを理解しようとし、専門知識とスキルをもったうえで、人として寄り添っているから。最後の第7章「みんなが笑って暮らせる場所を求めて」では、「成人期の居場所」をつくるにはどうしたらいいのか、について著者の回答が示されています。居場所について考える、支援する方にも、支援される方のご家族にも、読んでほしい1冊です。(JDSニュース編集担当/関川 香織)