誰だって誰かのヒーローになれる

広岡 真生 著
言叢社刊/1,850円(+税)

共同通信発信のニュースで、「時の人」としてダウン症児の育児日記を出版した広岡真生さんが紹介されました。記事全文をご紹介します。

「時の人」ダウン症児の育児日記を出版した広岡真生(ひろおかまさお)さん

2004年に生まれたダウン症の長男歩睦(あゆむ)さん(16)との生活をつづった「誰だって誰かのヒーローになれる」を出版した。兄弟げんかやハプニングが起きたり、夢を抱いて勉強や習い事に励んだりする日常は、障害の有無に関係なく明るさと気付きを与えてくれる。「ダウン症児の未来は豊かさや可能性に満ちている」との実感を込めた。

勤務する川崎市役所の職員組合の機関紙に05年から連載。その記事を基にまとめた。本の副題は「子育ち日誌」。親が子を「育てる」のではなく、歩睦さん自身が時間がかかったとしても自分の力で育っていくという、生命力やたくましさを表現した。

出版に当たり、妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる新出生前診断(NIPT)や、16年に相模原市で起きた知的障害者施設での殺傷事件で浮かんだ優生思想についても思いをつづった。むき出しで突き付けられた「命の選択」に「わが子を否定されたように感じた」と戸惑いを隠さない。

それでも考え抜いて導いたのは「誰しも生きるために支援を必要としている。誰かと関わり、誰かの支えになれるなら人生は輝きを増す」。本のタイトルにつながる答えだ。

わが子の障害を告知された直後の両親が本を手に取ったら―。「悩む気持ちはすごく理解できる。それも含めて、子を育てるのは本当に楽しいと伝えたい。ありきたりだけど」。隣の歩睦さんを見つめる目が一段と細くなった。47歳、東京都出身。
(共同通信配信)
(情報提供:共同通信記者 JDS会員 市川 亨)

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