ダウン症のある子どもへのアプローチ222

佐藤功一 著
田研出版/1,800円+税/2017年6月

著者より
2013年に『ダウン症児をたくましく育てる教室実践~学校現場からのデータ&テクニック』(田研出版)を出版しました。これから特別支援教育を担う若い教師に向けてのメッセージとして発信した内容でしたが、全国の特別支援教育に関わっている先生方はもとより、保護者の皆様や支援機関の方々からもたくさんの反響をいただきました。

その中で最も多かったのは、「ダウン症のある子どもへの具体的な指導例をもっと教えてほしい」というものでした。さらに「こんなとき、どのように指導したらよいのでしょうか」という具体的な場面での質問・相談の数は、それ以上でした。今回、「その切実な全国からの声にぜひとも応えたい!」との私の思いが叶い、再び出版の機会をいただくことになりました。

ダウン症のある子どもの指導の本質は、目の前の子どもの実態をじっくり見ながら、その子どもに応じて効果的な指導法を模索・選択していくことにあります。その子どもにあった指導法は必ずあり、しかも複数存在します。なかなか指導効果が表れない場合、それは指導法そのものの良し悪しではなく、その子にとって、その指導法が合っていないことが多いのです。

そんな意味を込めて、今回紹介する指導の手立ての数々を「アプローチ」としました。「アプローチ」という言葉は、「より近づく」という意味を持っています。今回、全国の教室で実際に行われている200以上の指導のアプローチを紹介しながら、課題を引き起こす根本的な原因やそれに対する指導のポイントも併せて解説しました。本書の中で紹介した指導のアプローチを順に一つずつ試していただいても、ピンポイントで辞書的に活用していただいても結構です。

この本が、目の前にいるダウン症のある子どもの課題解決に最も合っている指導法を見つけ出すヒントになれば幸いです。