成人期ダウン症研究会は、成人期のダウン症のある人たちに関する研究や臨床に携わる研究者の交流を促し、この分野での研究と支援方法の開発につなげることを目的に、公益財団法人日本ダウン症協会の公益事業の1つとして設立されました。近年、ダウン症者の平均寿命が60歳を超えるようになり、以前のダウン症像は大きく変化しています。医療的にも心臓手術を始め、合併症に対する診療指針はほぼ出来上がってはいるものの、成人期医療となると明らかな方針を立てられないままになっています。それは、日本における成人に至ったダウン症者の暮らしの実態、認知レベル、老化進行程度など実態調査も少なく、信頼できるデータが限られているためです。
一方、若年成人期の退行様症状、成人期のアルツハイマー病の進行などについては薬剤開発の対象にもなり、近年注目されるようになりました。さらに、高齢期になっても動脈硬化が少ない、死因として脳卒中が多いなど特徴的なことが多く、研究者の注目を集めています。そこで成人期ダウン症研究会では、成人期のダウン症者の実態を多方面からとらえ、成人期ダウン症者に発症する早期老化のメカニズムなどの病態を科学的に解明していき、成人に至ったダウン症者の豊かな暮らしに貢献できるように研究をすすめていく上で研究会のネットワークを推進力としていただければと願っています。