会報「JDSニュース」でご紹介した図書です。(最近の図書を上位に掲載しています/2012年5月号以降)

発達障害の子どもの体と心をほぐすプログラム」
三宮 華子 著
【学研プラス/1,400円(+税)】
腕や背中をゆっくりとゆらして身体をゆるめる、力をかけないリラックスするタッチ。実はこの本、前半分はタッチケアの方法ではなく、障害のある子の身体の特徴やタッチの効果が載っています。親が子どもをつかむとき、さわるとき、素人には「え?そんな小さなことで違いがでるの?」というくらい、細かく考えているのは理学療法士さんも同じ。三宮さんは、整体師として自閉症のあるお子さんに向き合ったとき、入所施設の成人当事者の姿勢をを思い出したそう。首が前傾し、歩幅が小さくチョコチョコ歩く姿は、障害ゆえではなく身体の緊張からきているととらえ、ゆるめることで改善する経験を積み重ね、この本を出されました。タッチケアだけでなくYoutubeに体操の動画もありますので、お子さんの状態にあったとりくみができます。
【ぐるーみんHP https://www.groomin.jp/】

笠井 信輔 著
【KADOKAWA/1,400円(+税)】
毎年、「世界ダウン症の日キックオフイベント」で司会を務めてくださっているフリーアナウンサー・笠井信輔さん。2019年の夏にフジテレビを退職してフリーになった直後、「悪性リンパ腫」というがんを発症しました。奇しくもコロナ禍での闘病となり、病気と向き合う中で、SNSを通じてたくさんの発信をしてきました。2020年は、日本中、世界中の人たちが、「命」と向き合う時間を過ごし、笠井さんはまた別のステージで「命」、「病」と向き合う時間を過ごしていたのです。その経験から笠井さんが思ったことと同時に、SNSのフォロワーの方たちから届いたたくさんの励ましが、ぎっしり詰まっているのがこの本です。笠井さんへのお見舞いや励ましの言葉はそのまま、この本を読む人への励ましにもなり、さらに笠井さんから私たちへの激励の言葉が綴られています。300ページあまりのこの本は、「生きる」ということについて、また人とのつながりについて、考えさせられる本です。

◎文/村上 有香 絵/伊藤 美憂
【風鳴舎/1,600円(+税)】
2019年の第2回ダウン症会議、「本人発表」に登壇した村上有香さんは、「NHKハート展」に6回入選した、ダウン症のある20歳の詩人です。初めての作品集「弱いはつよい」は、同じくダウン症のあるアーティスト伊藤美憂さんとの共作です。15歳から油画を始めた伊藤さんによる絵は、表紙をはじめ、詩と同じくパワーが溢れます。今年20歳の同い年アーティストがつづる世界が明るくキラキラ輝く120ぺージです。ハート展に入賞した6作は、著名人・タレントなどが詩をイメージして描いた絵とともに、また62作を1章「笑顔満点」、2章「アニバーサリー」、3章「季節」、4章「学校で出会ってん」、5章「日々是」、6章「夢」とテーマに分けて収録。詩は、すべて村上さんの手書きの文字をそのまま。サインペンで丁寧に描かれた力強い文字そのものがアートです。

◎佐々木 真紀
【文芸社/1,200円(+税)】
「マレタイム」 という作品は、文芸社×毎日新聞主催のコンクール「人生十人十色大賞」において最優秀賞を受賞し、書籍化されたものです。
この作品は、ダウン症と二つの合併症を持って産まれた希と、 私たち家族が歩んだ四年間を、当時つけていた日記とインスタグラム(mare.time)を読み返し、 はじめて綴ったものです。
私はこの作品を書くことで、 自分自身に起こった一連の出来事を整理し、 また新たな気持ちで希と向き合い、 楽しく歩んでいきたいと思いました。
そして、この作品をたくさんの人に届けたいと強く思っています。 障がい児を授かったばかりのママ、育児に悩み苦しむママ、そんなママを支える人たちを一瞬でも笑顔にしたい。涙が希望に変わることを伝えたい。そして、私自身が支えられた家族や友人、医療関係者や療育、保育に関わる人などに感謝の気持ちを伝えたい。そんな溢れる想いで書き進めました。
誰にだって平等に幸せになるチャンスがあること、乗り越えた先にはちゃんと幸せが宿ること。当たり前の毎日がどれほど素晴らしいものか。生きることと真剣に向き合った私たち家族の四年間を、ぜひたくさんの人に見て頂きたいと思います。何か感じていただけるものがありましたら、大切な人へと「マレタイム」 を手渡し、また読んでもらえたら、少しずつ広がって、 今この瞬間に泣いているママに届くかもしれません。それが私の一番の願いです。
※掲載図書は書店等で お求めください。
(JDSニュース表紙アートディレクター)
ある日、著者の佐々木真紀さんご自身から、「マレタイムのチラシをデザインしていただけないか」というご相談のメッセージをいただきました。同じくダウン症がある娘を育てている私にとって、こんなに嬉しいご相談はないと思い、ぜひ!とお返事させていただきました。
チラシのデザインには、私が本文から最も印象に残った言葉を抜粋し、キャッチコピーとして使用させていただきました。
「明日も、抱きしめたくなる一日にしよう。」
私は、この言葉に「明日という一日を丸ごと、我が子と一緒に抱きかかえてみよう」という著者の温もりのようなものを感じました。私たちは、日々の忙しさの中で、ごく当たり前の日常の素晴らしさを忘れてしまったり、我が子と過ごす一日一日のかけがえのなさを、見失ってしまったりします。そんな時、自らの境遇を物ともせず、たくましく生きようとする希くんと著者が、まるで大らかな海のように私たちをまるっと包み込んでくれている。そんな気持ちにさせくれるのです。

ダウン症のある子どものための身体づくりガイド
ーおうちでできる練習BOOKー』(原書第2版)
◎原著者/パトリシア・ウィンダーズ 監訳者/真野 英寿・秋田 可奈子 訳者/佐藤 あずさ
【三輪書店/5,500円(税込)】
総ページ数486、まずは本の厚さに驚かされると思います。親がすべて教えなきゃいけないの? とプレッシャーに感じるかもしれません。いえいえ、練習しなくても座ったり歩いたりできる子がほとんどです。ではなぜ「身体づくり」?
答えは序論のいちばん最初にある「子どもが自身の人生を満喫するため」。うちの子は歩くのが下手、うまく体が使えない、とあきらめて嘆くより、お子さんのごく小さな変化やできることに親が目を向けることで、お子さん自身が「自分はこれでいいんだ」と思えるきっかけが増えます。
この本にある写真の子どもの目をパラパラと見てください。「やってみたい」「あのおもちゃをとりたい」そんな声が聞こえてきそうです。「うまくハイハイしたい」と考えて練習する赤ちゃんはいません。「あそこに行きたい」「あれがとりたい」と思うから、自然と動きます。
理学療法士は身体のつくりを熟知していますが、わが子の「動き」をうまく引き出せる先生に出会えるかはまた別の話。だったら親がその子の身体のプロになれば、日々の関わりのなかでできることの幅が広がっていきます。手の添え方、支えている位置をほんの少し変えるだけで、力のかかり方がまったく変わります。おむつ替えや食事がミニ練習のチャンスになるのです。
この本の大事なポイントは、発達段階別の各ステーの最後にある「マイルストーン・チェックリスト」です。そのステージをクリアしているかの箇条書きが示されています。まずこのチェックリストを見て、自分の子にあてはまるステージを拾い読みしてみてください。
また、このチェックリストを見て、自分で我が子のチェックをしてみましょう。いつできるようになったか、ということもメモして使うこともできそうです。リハビリ施設や訪問療育などを受ける際も、保護者と専門家がチェックリストを見ながら、共通認識を深めることもできるでしょう。
文章ばかりでよくわからない、という場合、一緒に考えて教えてくださる先生を探してみましょう。保護者だけで抱え込まず、その子のことを考えてもらうきっかけにもなります。

『あいちゃんのひみつ ダウン症をもつあいちゃんの、ママからのおてがみ』
(岩崎書店/1,600円+税)
小学校4 年生の子どもたちが理解できる、ダウン症のあるお友だちの特徴や接し方が描かれた絵本。「小4生全員があいちゃんママのお話を聞き、疑似体験する授業が行われました。あいちゃんは、なぜ特別支援学校から地元の小学校に転校してきたのか、あいちゃんは転校してどう感じているのかが描かれた、あいちゃんママからのお手紙。」(岩崎書店の内容説明より抜粋)あいちゃんと子どもたちのかかわり合いが、やさしいタッチの絵と文章で描かれ、大人にとっても、ダウン症についての理解の入り口になりそうです。監修は玉井邦夫JDS代表理事。

『ダウン症の書家 金澤翔子の一人暮らし』
(かまくら春秋社/1,540円+税)
<著者からのメッセージ>
この本は、金澤翔子さんが30歳で一人暮らしを始めたことについて、お母様の金澤康子さんがつづったもの。興味津津で著書を読ませていただき、まず驚いたのは、お母様の決断だ。翔子さんは確かに書家として立派な仕事をされているが、知的障がいがあることはまぎれもない事実であり、自立したとしても様々な支援が必要なのではないか?と心配だった。
しかし、翔子さんは「生きる達人」なのだ。生活を満喫し、食事は一人で作り、一人で食べている。料理も上手だというから脱帽だ。実家には特に用事がないと帰らないという。実家にも近い幼い頃からよく知っている「久が原商店街」の中の美しい部屋の主になった翔子さんは、とても素敵に暮らしている。銀行のATMを使うことをはじめ、社会に出たことで得た多くの知識を発展させるパワーを持ち、困ったことが起きたら自分で解決の道を探ったりする行動力には圧倒される。
社会はそれほど甘いものではないけれど、翔子さんは地域に大勢の応援してくれる人をつくり、また、柔らかい風を吹かせて地域を巻き込んでいるのはとても素敵なことだと思った。宮澤賢治の「雨ニモマケズ」のモデルのような人なのだ。本の中に「比類ない」という言葉がよく出てくるが、間違いなく慈愛に満ちた天使が翔子さんなのだ。一人暮らしを始めて、激太りしたり、嘘を覚えたり、生々しい現実も知ることができた。自由は罪か?と思いつつ、これからの翔子さんの「真の自立」に期待したい。
【JDS会員:熊谷 百合子】

『ダウン症のすべて ALL OF DOWN SYNDROME(TRISOMY21)』
(人中外医学社/7,600円+税)
<著者からのメッセージ>
ダウン症について、ふと疑問に思った時、
百科事典のようにめくってほしい
ダウンちゃんは、病棟の人気者です。おそらく家庭や学校などでもそうでしょう。とても人懐っこく、すごく適応力があり、みんなから可愛がられる抜群に愛らしい存在です。また、明るく元気いっぱいのダウンちゃんもいれば、静かでおとなしく絵本を読むのが好きなダウンちゃんもいます。それぞれが個性を伸ばして、元気に楽しく毎日過ごせたら、最高だと思います。
小児科医をしていたころ、私はいろんな内科疾患のダウン症のあるちびっこに出会いました。その後、小児麻酔の分野で手術の麻酔だけでなく、検査や処置の鎮静・鎮痛にも携わるようになり、今度はさまざまな外科疾患のダウン症のあるちびっこに出会いました。
21トリソミーにはとても特徴的な疾患や症状があるので、診断や治療・療養・生活においてある程度の予測ができます。そのため、生まれる前からあるいは生まれてすぐから、医療面や生活面でしっかりサポートしてあげれば、元気にすくすく育ってくれることがとても期待できるでしょう。そのためには、医療従事者はもちろんのこと、家族・学校の先生・周りの人々が、ダウン症についてよく知ることがとても重要だと思います。ダウン症児に出会うすべての方が、ふと疑問に思った時に、この本を百科事典のようにめくってほしいなと思います。
<この本について>
前半は、21トリソ ミーの診断や並存疾患の診断・治療について、各分野のエキ スパートの先生に、ポイントをあげて図表なども使って医療者ではない方にも分かりやすいように、かつ、最新の情報や治療法などもマニアックに盛り込んで医療者にも読みごたえがあるように書いてもらいました。
私の専門分野でもあります小児麻酔に関連して、全身麻酔や区域麻酔、気道管理、検査の麻酔、麻酔のトピックスなどについても掘り下げてまとめています。
本の後半には、理学・作業・言語聴覚療法、おすすめの図書、音楽療法、保育、妊娠出産、ご家族の言葉なども書かれています。ぜひ、ご家族や学校の先生などまわりの方々に読んでほしいです。また、学校に行くにはどんな選択肢があるのか、そのあと就職するにはどんな過程を経るのか、具体的にどんな公的サポートが受けられるのかなど、成長していくなかで、実際直面したときに役立つ情報も盛り込んでいます。
【静岡県立こども病院麻酔科 諏訪 まゆみ】

『生まれ変わっても国連 ー国連36年の真実ー』
(人間と歴史社2019/3,500円+税)
国連開発計画、国連事務局、ユニセフで活躍された丹羽敏之さんが、広島での被爆体験を含む生い立ちと、36年間の壮大な“国際公務員”としての軌跡を書かれた本。「なぜ会報で紹介を?」――実は、丹羽さんはダウン症のあるお子さんの父親で、お母様は23年間にわたり「花クリニック」(東京)でダウン症母子発達相談を担当された丹羽淑子先生なのです。淑子先生は、初孫の真理佐(まりさ)さんが1973年にアメリカで生まれて以降、発達心理学者としての専門を生かし、日本におけるダウン症研究の権威でありカウンセリングのパイオニアとなった方です(代表的な著書『あなたたちは「希望」である ―ダウン症と生きる―』/人間と歴史社:2004年)。
丹羽さんの本には、真理佐さんのこと、淑子先生のこと、開発途上国で仕える国際公務員として重症の心疾患を抱えたダウン症のある子の親としての悩み等に関する記述があります。現在45歳になった真理佐さんの近況をお聞きすると、幼い頃にNGOの計らいで巡り合った障害児養育専門家の養父母と過ごしたアメリカのピッツバーグで、専門職員監督のもと仲間3人とアパートで共同生活をし、スーパーマーケットで働く自立した生活を送られているそうです。
【JDS富山支部長 上原 公子】

『ホーホーの詩、それからー知の育て方ー』
(出窓社2018/1,400円+税)
〜この本を読んで〜
静香さんとご両親の心通い合う学びは、ダウン症のある静香さんの興味関心に基き心で学び合うものです。これは、ダウン症のあるお子さんだけでなく、子どもに関わる全ての人の原点、ヒントになると思いました。ご両親の愛ある教育や手作り問題集は見る人の心に感動を与えます。静香さんは表現豊かに育ち、心でピアノを弾いたり詩や絵をかいたりして周囲の人を楽しませてくれます。この本を通して、どの子も皆、無限の可能性を秘めた存在で、それを引き出し認め伸ばすことこそが大人の役目だということを改めて感じました。様々な人々に希望と感動を与える一冊です。
【兵庫県 福島 淳子・1歳7カ月の子の母】

絵本『あかんくない』
(ぶどう社/1,500円+税)
「あかんくない」、この言葉はわたし自身が全ての子どもたちに届けたい「みんなそれでいいんだよ」という想いに共鳴し、迷わず手が伸びました。<子どもたちの持つまっすぐでありやわらかな発想/豊かな感受性/ 共に育つことで生まれた協和の心>そんなキラキラした心が溢れている絵本です。子どもたちの小さな社会が豊かで優しいように、社会全体もそうなっていくために、私たち大人に何が必要なのか。この本の中の子どもたちがそのいくつかの答えを見せてくれています。学ぶべき大切なことを教えてくれている子どもたちへ「あかんくないよ」とほほえんであげられる大人が増えるよう、この本に願いを込めて。
【兵庫県 早田 由美子(JDS会員)】
※掲載図書は書店等でお求めください。

『選べなかった命〜出生前診断の誤診で生まれた子』
(文藝春秋/1,700円+税)
母親が医師を提訴。この衝撃的な裁判がニュースに流れた時、わたしは言いようのない戸惑いとおびえを感じた。急速な医学の発展と、それに追いつけない社会、人の心。その歪みが今に与える影響は余りにも大きい。著者は5年以上をかけ、当事者の母親だけでなく、ダウン症のある方をも訪ね、丁寧な取材を重ねている。あとがきにこう記している。「安易な中絶も、安易な出産もない。…人間は時に間違う存在だ。選んだ道を良かれと思ったり、後悔したり、そうやって七転八倒して私たちはそれでも生きている」この本を手に取る事を躊躇した人にこそ読んで貰いたい一冊。
【京都府 武田 みどり(JDS会員)】

『障害のある子の「親なきあと」〜「親あるあいだ」の準備』
(主婦の友社/1,500円+税)
「親なきあと」に、障害のある子はどうなるのか。いたずらに不安を感じながら毎日を過ごすよりも「今できること」をするために。自身も知的障害の子があり、全国をかけまわり多数の講演をつづける著者ならではの、親身なアドバイスと最新情報が詰まった一冊。『障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」』など、既刊2冊の内容をまとめて最新情報を更新した決定版です。「全国相談員研修会」で講演をしていただいた渡部伸先生の新刊。

『コウノドリ23巻』〔出生前診断編〕
(講談社/607円+税)
テレビドラマでも話題の、産科を舞台にした医療マンガ「コウノドリ」。23巻は、NIPT(非侵襲の新型出生前診断)を巡る2つの家族の物語。それぞれ事情の異なる家族の中で、どういう結論を出していくのか。主人公の医師・鴻鳥サクラだけでなく、認定遺伝子カウンセラー・真田ケンジとともに話し合いを重ねていきます。それぞれのセリフの中から、NIPTに関係するたくさんの課題が浮き彫りになる23巻です。

『編集をおえて ー会報[JDSニュース]203号と歩んだ17年間ー』
著者はJDS元理事であり、富山支部(つなGO)支部長であり、今春まで17年間にわたりJDS会報の編集長でした。会報203号分の編集後記をまとめたこの本は、日本ダウン症協会の歴史の一部でもあり、ダウン症のある人やその家族が、日本の中でどのように声を挙げてきたかの記録でもあります。著者ご自身の息子さんは現在29歳。いつも会報を編集しながら、「会報の読者のほとんどを占める同じ立場の親御さんへ向けての私からの “エール” ということを考えながら編集後記を書き続けていた」のだそうです。
一般販売はしていませんが、JDS事務局で貸し出しています。

『家族のコトバ Vol.1 子供と向き合う編』
光文社 定価(本体1,500円+税)
雑誌「VERY」が取材した家族の姿から、様々な壁と向き合い乗り越えた25家族のストーリーを再編集した一冊。そのうち、ダウン症のあるお子さんのいる家族は4組。各エピソードは、ピンクのページに笑顔の写真から始まります。あなたの心のおもむくままに、どこから読んでもいい本です。きっと、あなたに響く言葉が、見つかります。読みたくない言葉に出会ったときは、その読みたくない自分の気持ちと、向き合ってみてください。あなたはあなたらしく子どもと向き合うことに、つながるかもしれません。

『マルコとパパ ―ダウン症のあるむすこと ぼくのスケッチブック―』
(偕成社/2,800円+税/2018年2月)
“絵本”と思ってページをめくると裏切られました! 息子のマルコが生まれたとき、グスティさんは受け入れられず、その気持ちが巨大な文字で「こんなの うけいれられない」と。そこから徐々に変わっていく彼の気持ち。アルゼンチン出身で現在はスペインのバルセロナに住む人気イラストレーターが、シンプルな言葉とユーモアあふれるイラストで綴った父親の愛あふれる傑作です。

『愛おしきいのちのために ―ダウン症のある私から―』
(かもがわ出版/1,500円+税/2017年11月)
岩元綾さんの最新刊は「いのち」がテーマです。この本を書こうと思い立ったのは、ご両親の戦争体験、そして津久井やまゆり園での凄惨な事件だったということです。改めて一人ひとりのいのちの輝き、生きる権利、幸せになる権利に思いをはせながら言葉が紡がれていきます。
弁護士の大平光代さんとの対談・往復書簡、JDSの玉井浩理事との対談も、興味深い内容です。
第1章/愛おしきいのちのために
第2章/ひかりの中で 対談・往復書簡 大平光代さん&岩元綾
第3章/旅―いのちとの出会い、別れ、そして再会
第4章/私に与えられた使命 対談・玉井浩先生&岩元綾

『障がい福祉の学ぶ働く暮らすを変えた 5人のビジネス』
(ラグーナ出版/1,852円+税/2017年11月)
偶数号の裏表紙広告「ぜんち共済」の榎本重秋社長が5人の中の一人として登場! 「障がい福祉の常識をくつがえす」リーダーたちです。
(社福)鞍手ゆたか福祉会 理事長 長谷川正人(福岡県)
●一緒に働く仲間の可能性を信じる
(有)まるみ 取締役社長 三鴨岐子(東京都)
●日本初 知的障がい・発達障がいのある方専門の保険会社
ぜんち共済(株)代表取締役社長 榎本重秋(東京都)
●胡蝶蘭販売で売上1億円、個々の能力を活かした自立の形を作った先駆者
NPO法人 AlonAlon 理事長 那部智史(千葉県)
●最重度の障がい者、高齢者の仕事づくりへの挑戦
ありがとうショップ代表 砂長美ん(東京都)

『すべての子どもに遊びを ―ユニバーサルデザインによる公園の遊び場づくりガイド―』
(萌文社/2,500円+税/2017年9月)
柳田宏治・林卓志・矢藤洋子の3名の著者による「あらゆる子どもが夢中で遊べるインクルーシブな公園づくり」のヒント満載のガイドブックです。
さまざまな障害のある子どもやその家族からの聞き取り調査、国内外の先進的な公園の実地調査、実践者へのインタビューや関連資料の収集など、岡山の市民グループ「みーんなの公園プロジェクト」の10年にわたる地道な活動によってまとめられたものです。

『出生前診断 受ける受けない誰が決めるの? ―遺伝相談の歴史に学ぶ―』
(生活書院/2,200円+税/2017年11月)
2012年8月29日付の読売新聞の衝撃的な記事「妊婦血液でダウン症診断 国内5施設 精度99% 来月にも」から5年5カ月。精度こそ数字を訂正する必要がありますが、2017年10月時点で、89施設が認定を受け、この新型出生前検査・診断(NIPT)が臨床研究として実施されています。
聖路加国際病院遺伝診療部の協力を得て、長年にわたり遺伝カウンセリングを実施し、そのあり方を模索してきた関係者の記録を残し、どう向き合うかを立ち止まって考えるため、本書がまとめられました。

『かんしゃになろうよ。こころで、』
(発行・編集:ホホホ座/1,500円+税/2017年4月)
大阪市平野区にある小さなアトリエ「アトリエひこ」。そこは、ダウン症のある大江正彦さんの自宅から始まった創作活動の場です。春菜さんは1997年からそこに通い、高等部を卒業後も、障害者の事業所に通いながら創作活動をしています。休日はダンスやテニス、ドラムを楽しみ、アトリエでは作詞し歌い、サッカーやプロレスの試合を観戦応援するとてもアクティブな春菜さん。彼女の作り出す詩の世界観は個性豊かでファンも多いそう。来年1月6日〜28日、京都市左京区の「ホホホ座」で佐藤春菜展開催。 <図書購入は「ホホホ座」のサイトから(ホホホ座で検索)>

春菜さんからのメッセージ
1990年、大阪生まれ。小学4年生から父親と交換日記を始め、同じフレーズを毎日のように書く。
1997年、「アトリエひこ」に参加。休日に創作活動をしている。

表紙[スローガン かんしゃになろうよ。こころで、]

裏表紙[OKのうた]

『今日も一日、楽しかった』
(朝日新聞出版/1.400円+税/2017年9月)
あべけん太さんは、ご存知のように“ダウン症のイケメン”としてNHK Eテレ「バリバラ」やTBS系「爆報!THE フライデー」などに出演されているタレントさん。仕事も、IT関連の会社の総務部門でバリバリこなしています。
この初エッセイは、1年以上かけて、ときにはカフェで、ときには居酒屋で、編集者とライターさんに話した内容が彼自身の言葉として綴られています。その場に家族は同席しなかったそうです。お父さんの俊秀さんは「仕事でも趣味でも充実した人生を送っている30歳の人間を取り上げたら、たまたまダウン症があった」という捉え方をしてほしいと語ります。
けん太さんにしかできない啓発活動をと、最近はたくさんの団体から講演のお声掛けがあるようです。JDS主催「日本ダウン症会議」の11月12日(日)午後の市民公開講座にも登壇されます。このエッセイ集を引っ提げて全国を飛び回ってほしいものです!

『出生前診断、受けますか? ―納得のいく「決断」のためにできること―』
(講談社/1,400円+税/2017年8月)
NHKスペシャル「出生前診断 そのとき夫婦は」という番組を覚えている方も多いことと思います。一連の番組を通じて向き合ってきた出生前診断を受ける人たちのさまざまな家族の「決断」の過程が、本書には細かく記されています。著者らは、その軌跡が、出生前診断を受けるかどうか迷っていたり、お腹の中の赤ちゃんの病気や障害を告げられて「決断」を迫られていたりする妊婦さんをはじめ、出生前診断について深く考えたいと思っている多くの人たちにとって、何からの道標になってくれたらと願っています。
【構 成】
プロローグ:出生前診断の今
第1章:出生前診断でわかること
第2章:出生前診断に向き合った人たち
第3章:出生前診断をめぐる不安とサポート
第4章:出生前診断で悩んだら
エピローグ

『弟は僕のヒーロー』
(小学館/1,500円+税/2017年8月)
イタリアに暮らす当時18歳のごく普通の青年が、ダウン症のある弟と一緒に5分間のショートムービーを制作し、2015年3月21日「世界ダウン症の日」に合わせてYouTubeで公開。それが大きな反響を呼び、翌年に本の刊行へ。イタリアでは15万部を超えるベストセラーとなり、すでに映画化も決定しているそうです。6歳違いの弟・ジョヴァンニの“兄”として様々な葛藤を重ねて成長していくジャコモ。恐竜が大好きで愛嬌たっぷりの弟を19歳の等身大の言葉で綴った記録です。

『アイちゃんのいる教室 6年1組にじ色クラス』
(偕成社/1,200円+税/2017年7月)
著者は現役の読売新聞の記者で、この“ドキュメンタリー絵本”と呼べる本書は、読売新聞宮城版で2014年2月25日〜28日、2015年3月25日〜31日、2016年3月22日〜31日に連載された記事が基になっています。高倉さんは、地域の小学校に通うダウン症のある「アイちゃん」が、普通学級で過ごす日常を6年間にわたって追いかけました。
2013年に1〜2年生編を、2015年に3年生編が出版され、今回がシリーズ3作目となる4〜6年生編。2年生のときから学年1クラスとなり、同じメンバーで過ごした36名の仲間たちは、昨年3月、卒業式を迎えました。高倉さんは、最後に、クラスの子どもたちに全員にインタビューを試みますが、子どもたちの生の言葉は圧巻です!
1〜2年生編
3年生編

『ヒロのちつじょ』
(太郎次郎社エディタス/1,400円+税/2017年6月)
ダウン症のある兄・ヒロの日常を当時美大生だった妹が絵と文で描きだしたイラストエッセイ。
以下、著者からメッセージを頂きました。
【著者より】
こだわる部分はとことんこだわり、気にしない部分はあるがままを受け入れる兄を見ていたあるとき、いろいろなことに悩んでいた自分がばからしく思え、「私は私のままでいい」と自分を受け入れられるようになりました。
障害のある家族の本というと暗く思われがちですが、この本はコミカルに描きました。読みながらフフッと笑ってくれたら、この本のメッセージが届けられたように思います。
現在、私はカナダにおり、ソーシャルワーカーになるため発達障害について専門学校で学ぶことを考えています。カナダで初めてホースセラピーの存在を知りました。将来そういった動物や自然を取り入れた方法も学び、実践していけたらと思っています。

久保山 茂樹・村井 啓太郎 監修
『ダウン症のある友だち』
(金の星社/2,800円+税/2017年3月)
★障害への理解を促すため、身近な学校の図書館や地域の図書館に購入をお願いしましょう!
子どもたち向けにいろいろな障害について分かりやすく紹介した全ン7巻シリーズのうちの1巻。
このほか、LD・ADHD、自閉症スペクトラム、視覚障害、言語障害、肢体不自由の巻があります。友達や先生はもちろん、友だちの家族や支援者など、多くみなさんに読んでいただきたい内容です。
他の出版社からも同じ目的で出版されている本があります。
●障害を知る本
『ダウン症の子どもたち』
(大月書店)
●発達と障害を考える本
『ふしぎだね!? ダウン症のおともだち』
(ミネルヴァ書房)

『ダウン症のある子どもへのアプローチ222』
(田研出版/1,800円+税/2017年6月)
【著者より】
2013年に『ダウン症児をたくましく育てる教室実践〜学校現場からのデータ&テクニック』(田研出版)を出版しました。これから特別支援教育を担う若い教師に向けてのメッセージとして発信した内容でしたが、全国の特別支援教育に関わっている先生方はもとより、保護者の皆様や支援機関の方々からもたくさんの反響をいただきました。
その中で最も多かったのは、「ダウン症のある子どもへの具体的な指導例をもっと教えてほしい」というものでした。さらに「こんなとき、どのように指導したらよいのでしょうか」という具体的な場面での質問・相談の数は、それ以上でした。今回、「その切実な全国からの声にぜひとも応えたい!」との私の思いが叶い、再び出版の機会をいただくことになりました。
ダウン症のある子どもの指導の本質は、目の前の子どもの実態をじっくり見ながら、その子どもに応じて効果的な指導法を模索・選択していくことにあります。その子どもにあった指導法は必ずあり、しかも複数存在します。なかなか指導効果が表れない場合、それは指導法そのものの良し悪しではなく、その子にとって、その指導法が合っていないことが多いのです。
そんな意味を込めて、今回紹介する指導の手立ての数々を「アプローチ」としました。「アプローチ」という言葉は、「より近づく」という意味を持っています。今回、全国の教室で実際に行われている200以上の指導のアプローチを紹介しながら、課題を引き起こす根本的な原因やそれに対する指導のポイントも併せて解説しました。本書の中で紹介した指導のアプローチを順に一つずつ試していただいても、ピンポイントで辞書的に活用していただいても結構です。
この本が、目の前にいるダウン症のある子どもの課題解決に最も合っている指導法を見つけ出すヒントになれば幸いです。




『障がい者の仕事を見に行く』全4巻
(童心社/各2,800円+税/2017年3月)
■1巻「ひとのために働く」
■2巻「学校で働く」
■3巻「伝統や先端の世界で働く」
■4巻「私たちのこと、もっと知ってほしいな」
第1巻では保育園で働く村山恵さん、第4巻ではファミリーレストランで働く藤江真二郎さんが紹介されています。JDS事務所相談員の母・もと子さんによる真二郎さんの育ちを振り返った手記「いっしょうけんめい自分の意志を伝えています」も6ページにわたって掲載されています。

『耳と補聴器のひみつ』
(学研プラス/2016年8月)
学習教材として小学校の図書室と公立図書館に無料配布されている、まんが形式のシリーズ本の一つ。監修は、東京大学名誉教授で医学博士の加我君孝先生、漫画は谷 豊氏で、構成を「オフィス:イディオム」が担当。耳の聞こえのこと、補聴器について、とても丁寧に分かりやすく書かれています。子どもたちが疑問に思っていること、知りたいと思っていることがよく分かる内容となっています。ほとんどのページに「まめちしき」も載っています。
※漢字にはすべて読み仮名がふってあります。
【構 成】
はじめに:音の妖精・リーノ
第1章:どうして音が聞こえるの?
第2章:難聴って何?
第3章:補聴器にはすごい機能がいっぱい!
第4章:補聴器の工場へ行こう!
第5章:補聴器を買いに行こう!
おわりに:いつかどこかで

『あきこの四季 ― いかわあきこ』
(サンエムカラー/税込2,160円/2016年8月)
「くじゃく」を主なモチーフに細密でカラフルな絵を多く描いている、いかわあきこさんは、1970年生まれ、京都府在住。この1月前半には、大丸ミュージアム<京都>で、書の金澤翔子さんとの二人展を大成功させた実力派です。ご家族は、あきこさんが興味を示す場所へ出かけて楽しい時間を共に過ごし、そこでの感動が絵に反映されているとのこと。春・夏・秋・冬と4章に分かれた画集からは、あきこさんの“心”が滲み出てきます。
<画集をご希望の方はメールでお申し込みください。takako-i@msa.biglobe.ne.jp>

『美容家ママとダウン症カイトの世界水泳奮闘記! 世界は君のもの』
(1,100円+税/ORANGE PAGE MOOK/2016年12月)
パーツモデルで美容研究家の金子エミさんの体験が原案。長男・カイト(海人)くんが生まれた1997年から今年7月、イタリアで開催された世界ダウン症総合大会の水泳競技に出場するまでが描かれたコミック(※この水泳競技大会については会報11月号11・12ページに報告記事を掲載)。
悩みながらも、カイトくんが輝ける場所にいられるよう全力で応援しようとの心境にたどり着くまでの、母親の素直な気持ちが綴られています。

『ダウン症児の学びとコミュニケーション支援ガイド』
(診断と治療社/2,500円+税/2016年8月)
編集者の一人、玉井浩氏は、大阪医科大学小児科教授で、JDS理事・JDS大阪支部長を務めています。自身がダウン症のある子をもつ父親でもあります。大阪医科大学にはLDセンターがあり、そこでは、ことばの遅れや認知のかたよりをもつお子さんを対象に、幼児クラス、小中学生の学習クラス、視機能の訓練、作業療法などを実施。その中の一つに、ダウン症のあるお子さんのための「タンポポ教室」があります。本書の実践編は、そこでの療育が基になっています。療育関係者、保育・教育関係者、そしてダウン症のあるお子さんをもつ保護者に、すぐにでも役立つ内容です。

『今日からできる! 障がいのある子のお金トレーニング』
(翔泳社/1,700円+税/2016年7月)
福祉のプロ=多機能型福祉施設のサービス管理責任者の鹿野さんと、家計のプロ=ファイナンシャル・プランナーの前野さんがタッグを組んで発行した、まさに「今日から」使える一冊です。軽度から中度の知的障害のある人が自分で金銭管理ができるようになるためのトレーニング方法と、障害のある子をもつ家庭のマネープランを分かりやすく紹介しています。
【構 成】
第1章:自分でお金を管理して可能性を広げよう
第2章:お金の基本が身につくトレーニング
第3章:日常生活に役立つトレーニング
第4章:親もお金と上手につきあおう

『障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本』
(主婦の友社/1,300円+税/2016年6月)
「親なきあと」という言葉は、障害のある子をもつ親にはぐさっと突き刺さるシビアな言葉です。しかし、そのことに目を背けることはできません。早い段階で知っておくことはありますし、準備すべきことがあるのならば適切な時期に始めておかなければいけません。この本は、そんな親にとって“バイブル”となるのではないでしょうか。
著者は、重度知的障害のある娘さんの父親で、行政書士であり「親なきあと」相談室を主宰しています。著者自身、「障害のある人は、住むところさえあれば何とかなる」と漠然と思っていたといいます。そして、この本を書いてみて、「やっぱり何とかなる」との結論に達したそうです。ただし、子どもの生活が安定するために、やれることはやっておこうと呼びかけます。

『わたしはダウン症の鈴木洋子です」』
(自費出版/消費税込み1,200円/2015年12月)
神戸市で知的障害者の福祉施設、社会福祉法人「ホーム塩屋」を運営する鈴木都さんが、ダウン症のある長女・洋子さん(50歳)とのあゆみを綴った写真集です。洋子さんが産まれたときには「3歳までの命」と医師に告げられたとのことですが、そこから、米国での生活なども経て障害を個性と思えるようになった半世紀が詰まった一冊です。
洋子さんは、母親の都さんが運営する「ホーム塩屋」に30年以上勤務。。ほとんど休むことなく、仲間たち、職員さんやスタッフの方々と共に働いています。2003年には、グループホームでの生活を開始。
洋子さんの趣味は多彩で、エレクトーン演奏(音楽グループ「COSMOS」で海外での演奏も!)や絵画制作やさをり織りにも長く取り組んでいます。この本の中には、洋子さん自身のコメント、成長をたどる写真とともに、色彩豊かな絵画やさをり織り作品が掲載されています。
<購入は「ホーム塩屋」まで:TEL 078-705-1159 ※売上げは同法人へ寄付>

『随想 息子と55年&知的障がい者と25年』
(文芸社/1,100円+税/2016年3月)
ダウン症のある息子さん・志佳(ゆきよし)さんとの55年間、社会福祉法人の運営等の福祉分野で大きな足跡を残された25年間を振り返った内容です。
<以下、かなざわさんより>
急に本を出版したくなり、2015年秋から原稿書きに取りかかっていました。何故なのか…私は今年、齢86になります。ここいらで、「かなざわ つとむ」という人間が生きていたぞという証を残したい気持ちが強くなってきました。私が残したいとすれば「障がい者」のことしかありません。それをエッセイという形で残せればと、書き始めたのです。今から書く障がい者論は、昔のものではありません。新しい捉え方でなければなりません。それは国連の「障害者権利条約」です。この中で「合理的配慮」という概念が強調されていることです。(中略)
この課題をどのようにして社会に啓蒙していくかが、これからの私達の大きな責任でしょう。大変おこがましい事ですが、この本を通じて社会への浸透を図る一助としたいと考えたのです。

『世界を変える知的障害者 ―ロバート・マーティンの軌跡―』
(現代書館/2,200円+税/2016年2月)
ロバートさんは1957年、ニュージーランド生まれ。出生時のトラブルで知的障害をもち、親の虐待、施設での放置、暴力に苦しみながらも、多くの人の理解と支援を得て、自らの声 で語り始めます。
インクルージョン・インターナショナルの2人目の当事者理事となり、後に副会長に。国連・障害者権利条約特別委員会で政府団メンバーとして条約策定に関わったロバートさん。本書は、彼個人の成功物語ではなく、彼と同じように人間性を否定された多くの人の物語でもあります。

『長男・次男・三男・夫よ 早く大人になってくれ!!(震え声)』
(双葉社/920円+税/2016年1月)
『ユンタのゆっくり成長期』『たちばなさんちの長男坊』に続く、たちばなさんのコミック第3弾。タイトルの最後(震え声)には、本音が表れていて思わずクスリとしてしまいます。“ドタバタ”家族の日常生活をきめ細かく拾い上げてあり、これまで同様、爆笑しながらも深く考えさせられます。(「JOURすてきな主婦たち」2014年9月号〜2016年1月号)

『しつけはどうする? 将来どうなる? ダウン症児を育てるってこんなこと』
(講談社/1,100円+税/2016年1月)
著者の言葉:―「子どもの障害は受け入れた。それでこの先どうなるの?」 怒涛、激震の乳幼児期をなんとか乗り越えた(つもりの)私が、少し先の未来に向けた不安や疑問や愚痴をぶつけたエッセイです。―
小学生のユンタくんのこと、母親の思いを“赤裸々”に綴ってあります。高校卒業後のことを考え、最後の第5章には3カ所の事業所訪問記もあります。

『うちの子育て はっけよい! ダウン症がなんのその!?』
(静岡新聞社<自費出版>/1,000円+税/2015年11月)
静岡県浜松市で、8年前から、自宅を開放して開いている家庭文庫「えほん文庫」の主宰者、大村さんが自費出版した本。ダウン症のある剛輝くんとの8年のあゆみを振り返り、支えてくれたすべての方に感謝を込め、子育て中のママにもエールを送りたいと願っての出版です。本のタイトルと表紙の“ごうちゃん”のイラストは、高校生のお姉ちゃん作。中学生のお兄ちゃんもいっぱい遊んでくれる、素敵なご家族です。
●お求めは「えほん文庫」まで TEL&FAX 053-439-3810 mail@ehonbunko.jp

『ダウン症って不幸ですか?』
(宝島社/1,300円+税/2015年11月)
放送作家でありライターの著者は、病気や障害などの啓発・支援事業に関わり、2014年、ABCラジオ(大阪のAM局)の番組「ダウン症は不幸ですか?」(JDSの玉井浩理事も出演)で、日本民間放送連盟賞 ラジオ報道番組部門 最優秀賞を受賞。その受賞が本書の発行へのつながります。
「ダウン症の有無が診断できる検査が始まる――」、2012年8月の新聞報道に、著者は衝撃を受けます。そして、翌2013 年4月からの“臨床研究”という名目での国内における検査開始。それは、「これ以上ダウン症の子どもは生まれなくていい……」という通告にも感じられました。多くのダウン症の子どもを抱える家族と接してきた著者は、ダウン症について知れば必ず意識は変わると、初の著作で世に問うています。
「ダウン症は、決して不幸なことではありません」
【構 成】
第1章:ダウン症の基礎知識
第2章:ダウン症児を持つ家族、それぞれの真実
第3章:ダウン症児の療育

『障害児通所支援ハンドブック ー児童発達支援 保育所等訪問支援 放課後等デイサービスー』
(エンパワメント研究所/1,800円+税/2015年11月)
宮田広善・光真坊浩史 編著、山根希代子・橋本伸子・岸良至 他著とあるように、障害のある子どもたちが通う現場での経験豊富な専門家の方々が、現場ですぐに役立つことを想定してまとめたハンドブック。
児童福祉法は平成24年度に大きく改正されました。ここでは、中でも大きく改編された障害児通所支援として登場した「児童発達支援」「保育所等訪問支援 」「放課後等デイサービス」が取り上げられています。

『おどろう! みんなで手話ダンス』
(新日本出版社/1,400円+税/2015年10月)
映画にもなった著書『星になった少年 ーぼくの夢はぞうの楽園ー』で有名な島田和子さんが、2011年に49歳で旅立ったダウン症のある小宮晶さんのことを書いた本です。
<以下、あとがきより抜粋>
日本ダウン症協会恒例のイベントのキャッチフレーズ
「STEP FORWARD TOGETHER ーみんなで一緒に前へ進んでいこう」は、まさに全力で生きた晶さんの人生そのものでした。
ときどき人づてに晶さんの様子を聞いていたので、書かずにはいられない思いでした。
晶さんはJDSの会員で、10年前の2005年11月号の表紙に登場し、和太鼓を叩く雄姿を見せてくれました。本文中の「表紙のことば」には、お母様のカツ子さんが、「何事にも積極的に取り組む姿に乾杯!」というタイトルで、仕事と趣味で大忙しの晶さんの充実した生活を1週間の予定表も付けて紹介してくださいました。とても印象的な記事で、今でもよく覚えています。
晶さんは、区役所内の喫茶コーナーで働き、テレビ取材の折には“看板店員”として紹介されたほどです。主な趣味は、手話ダンスと和太鼓で、週末にはさまざまな施設へ出かけ、多くのイベントに参加していました。
ところが、福祉制度の変更に伴い、職場にさまざまな変化が起こります。同じ場所にもかかわらず、福祉就労から特例子会社へのトライアル雇用となり、結局、解雇されてしまいます。新しい作業所に移りますが、なかなかなじめず、それをきっかけに、晶さんはだんだんと心を閉ざしていきます。
そんな中、東日本大震災を体験し、晶さんは動揺し、心の扉が徐々に閉じられていきました。晶さんは、もう何も「いらない」という状態になってしまいます。携帯も、お金も、メモをとるボールペンも……。そして、大好きだった手話ダンスも和太鼓も。ついには、食べることも、飲むことも、「いらない」と。
和太鼓を力強く叩いていた元気な晶さんがそのような状態にあることを知った私は、ショックで愕然とし、何とかならないものかと焦りました。ご家族の苦しみを思うと心が張り裂けそうでした。
一向に晶さんの状況は改善されず、何度も救急車で病院に運ばれ、入院。ご家族は手を尽くされましたが、だんだんと衰弱し、2011年11月2日、ご両親に見守られながら49歳と8カ月の生涯を閉じられました。 精一杯、自分自身の思いを貫き、生き切った晶さん。一生懸命に生きた人生でした。
その死から4年が経ち、「晶さんの生きた証を残したい!」とのご両親の念願が叶い、この本が出版されました。島田さんが書いてくださったおかげで、彼の生き様を多くの方に知っていただくことができますし、こうして会報(2015年12月号)でもお伝えすることができました。
【会報「JDSニュース」担当:上原 公子】

『ダンスチーム ラブジャンクス ーダウン症のある子たちと共にー』
(角川春樹事務所/1,500円+税/2015年10月)
牧野アンナさんは、「ダウン症のある方たちと運命的な出会いを果たし、今までの経歴をすべて捨て、かれらと一緒に生きるため、ダンスチーム『LOVE JUNX』を立ち上げる。」<本の帯より>
この運命的な出会いとは、実は、2002年にJDSが横浜で開催した第3回「ダウン症児者の芸術創作活動」としてのダンスイベントでした。そのためのレッスンをJDSがアンナ先生にお願いしたことが事の始まりで、本番のステージ上で最後に、「わたしはアクターズスクールをやめて、この子たちと一生、生きていくことを決めました」と宣言。後戻りできない決意表明から13年が経ち、いまでは全国でダウン症のある人たち700名以上がダンスを楽しんでいます。そんなアンナ先生のこれまでの軌跡、そしてこれからがぎゅっと詰め込まれた一冊です。

『発達が気になる子どものためのポーテージプログラム入門 ー0歳から家庭でできる発達支援ー』
(合同出版/1,600円+税/2015年7月)
1970年代にアメリカで開発された「ポーテージプログラム」が日本に導入されて今年で30年になります。
ダウン症をはじめとする発達が気になるお子さんをもつ親にとって、信頼のおける療育プログラムの一つとして定着しています。本書は、実例を交えて、0歳からできる“家庭中心アプローチ”をわかりやすく解説しています。

『本当はあまり知られていないダウン症のはなし ーダウン症は「わかって」いないー』
(神奈川LD協会/1,000円+税/2015年8月)
JDSの玉井邦夫代表理事の最新刊で、神奈川LD協会主催のセミナーでの講演内容をまとめたものです。副題に「ダウン症はわかっていない」とあるように、知っているつもりで、実は、知らないことがたくさんあるのではないでしょうか。古い知識がもはや通じなくなっている部分もあるはずです。
新たな気持ちで「ダウン症」に向き合わせてくれる本です。

『ダウン症者とその家族でつくる豊かな生活 ー成人期ダウン症者の理解とサポート実践プログラム』
(福村出版/2,100円+税/2015年7月)
成人期のダウン症のある人について、待望の本が出版されました。編著者は、いつもJDSがお世話になっている菅野先生・橋本先生・小島先生という、まさに“ダウン症の専門家”の先生方です。
<以下、まえがきより抜粋>
1998年に『ダウン症者の豊かな生活』が福村出版より刊行されてから17年が経過しました。この間、医療・福祉などの進展もあり、成人期以降のダウン症のある人たちを巡る状況は変化しています。また、平均寿命も着実に
延長し、これまで以上に、成人期以降において豊かな生活をどのように実現していくのかを本人や家族の方々も含めて模索していく必要があります。(中略)構成は以下のような観点でつくりました。
●成人期のダウン症者の充実した日々の紹介【第1章】
●ダウン症者の生涯発達のタイプと様相【第2章】
●心や身体の健康、疾患と対応【第3章】
●心理・行動機能の低下予防【第4章】
●家庭や施設などで実践できる具体的な支援プログラム【第5章】

『シートベルトをしめて発進しよう! ーきょうだいにダウン症のある人のための短期集中コース』
(三輪書店/3,000円+税/2015年3月)
著者の一人、スコトコ氏は、ボストン小児病院を経て、現在はマサチューセッツ総合病院に勤務する医師。認知・発達障害のある子どもたちのために奮闘されていて、
たびたび講演で来日もされています。
自身の二人の妹さんのうちの一人にダウン症があることで、きょうだいとして同じ立場から、本当に役立つ本を出版。日本の関連情報も追加されています。

『この世の光のただ中に 〜ダウン症青年100人の声〜』
(あいり出版/4,300円+税/2015年3月)
2009年には出版された『ほんに おまへも あの時は ?ダウン症青年70人の写真集〜』につづく写真集第二弾。見開きで一人を取り上げるというスタイルは変わりませんが、第一弾は生まれてからの育ちに重点が置かれ、今回は仕事を中心とした現在の生活にフォーカス。
100人の個性あふれる人たちが、それぞれの人生を送っている姿は感動的! 編者の安藤先生は“ダウン症”に長く関わってくださっている専門家で、「子供の城協会」の理事長をされています。

『「ホーホー」の詩ができるまで ーダウン症児、こころ育ての10年』
(1,300円+税/出窓社/2015年3月)
「ホーホ」は、著者の11歳になるお嬢さん・静香さんが大好きなフクロウのことを書いた詩で、第19回NHKハート展に入選した作品です。
【帯に書かれているJDSの玉井浩理事(大阪支部長、小児科医)の推薦文より】
本書を読まれた方は、ご両親のあふれるような愛情によって育てられた静香さんは本当に幸せであると思われることでしょう。読み終わって、幸せに感じている私自身がいます。

『マンガ はじめての出生前診断』
(かもがわ出版/1,400円+税/2015年2月)
「この本は、私が全く無知の状態から、まだまだ議論が尽くされていない出生前診断についての日本の現状を取材した約1年間の記録です」と中西さん。
何の心構えもなくこの問題に直面することになり悩む家族のために、丁寧に、分かりやすく、マンガと文章でかかれています。

『ダウン症の歴史』
(3,800円+税/明石出版/2015年2月)
〜南アフリカでの世界ダウン症会議への参加が出版のきっかけに〜
2012年8月に南アフリカのケープタウンで、第11回世界ダウン症会議が開催されました。日本を代表してJDSがブース展示をしましたが、そのブースにライト先生(カナダ・モントリオールにあるマギル大学の歴史学の教授)が『ダウン症の歴史』の原著『DOWNS』を手に立ち寄られたのが、事の始まりです。ライト先生は会議の発表者の一人で、日本の友人の協力で翻訳本を出す方向で進んでいるとのことでした。
2年半を経て、このたび無事、本書が発行されました。新型出生前検査・診断が進められているこの時期に、日本で、ダウン症の歴史を振り返る貴重な学術書が出版されることに、大きな意義を感じます。日本に関わる記述について何度もやりとりをした訳者の大谷誠先生、出版元の明石書店様に改めて感謝いたします。【広報出版委員長:上原 公子】
<購入ご希望の方はJDSまで。★特別価格:税込・送料込み 3,800円>

『生きてるだけで100点満点!』
(1,300円+税/ワニブックス/2015年3月)
我が子にダウン症があると宣告されたとき、 親は何を思い、心はどう揺れて、家族はどう受け入れていくのか……
タレントで女優の奥山佳恵さんが我が子の障害を受け入れるまでを克明に綴ったドキュメンタリーエッセイです。
★奥山さんには3月21日のJDS記念イベントに出演していただきました!

『わが子よ ー出生前診断、生殖医療、生みの親・育ての親』
(現代書館/1,500円+税/2014年11月)
■JDS会員でこの本の執筆者の一人である共同通信社記者の市川亨さんからの本のご紹介
出生前診断に不妊治療、養子縁組ー。「親になる、子を持つってどういうことだろう」
全国の新聞に記事を配信する共同通信社の記者14人が、そんな問いを胸に取材した連載企画「わが子よ」(2013年4月〜2014年6月に配信)を1冊にまとめた本です。
「ダウン症」との出生前診断を受けた夫婦や、第三者からの精子提供で生まれた男性、特別養子縁組の親子…。さまざまな葛藤を抱く当事者を訪ね歩き、それぞれの問題について単純な批判や賛成ではない、多面的な視点を読者に提供しています。
日本での出生前診断と障害者運動の歴史、母体血清マーカーテストが無料で一律に提供され当たり前になっているイギリスの現状も紹介。記事を読んだ読者からの感想も交え、生殖医療が進歩していく未来に私たちはどう向き合っていけばよいのか、徹底的な「現場目線」で問いかけています。
【「あとがき」より】
晩婚・晩婚化といったライフスタイルの変化による少子化、医療技術の進歩と生命倫理をめぐる国民的議論の欠落、さまざまな制度的不備といった社会的な要因を背景に、出生前診断や不妊治療の当時者となった人たちは複雑な状況に直面し、混迷の中をさまようことになる。私たちの誰一人、唯一無二の正しい答えを導き出すことなどできはしないが、これらの問題は決して「他人ごと」ではなく、そこに映し出されているのは私たちが生きる社会のありようだということを忘れてはいけない。

『アイちゃんのいる教室 3年1組』
(偕成社/1,200円+税/2014年1月発行)
漢字が得意で、人なつこく、がんばり屋さんのアイちゃん。
仙台市の小学校で奮闘する姿を追った写真絵本『アイちゃんのいる教室』(2013年)の続編です。
以下、著者の高倉正樹さんより。
3年生になったクラスは、アイちゃんには優しく、ほかの子同士はなぜかケンカばかり。そこで、担任の先生は秋の学芸会の劇づくりを提案します。テーマは「仲間って何だろう」ー。
みんなのそばには、いつもアイちゃんがいる。一人ひとりが違うことを、誰もが理屈ぬきに理解している。だからこそ、先生も含めた全員で悩み抜いてたどり着いた一つの答えに胸を打たれます。それは、アイちゃんが通常学級で学び続けることの意義を、まさに子どもたち自身の力で導き出したからだと思います。ぜひ、アイちゃんのいる3年1組をのぞいてみてください。

『社会は障害のある人たちに何を期待しているか
―生涯学習実践から知的能力をめぐる問題を考える―』
(あいり出版/1,600円+税/2014年11月)
「知的障害のある人たちと関わりはじめて、20年になる」という著者。原点は「知的障害があっても、自分たちと変わらない」との認識。この「共通点がある」という理解と同時に、「知的能力にハンディをもつ彼らは、私たちと何が異なるのか」と“違い”に目を向けます。
2014年に批准された障害者権利条約の中の「合理的配慮」が、まさにこの視点ではないでしょうか。生涯学習の重要性とともに、知的に障害がある人が学びを日常生活に活かしていくための支援を考えます。

『イラストでよくわかる 楽しくはじめる ダウン症リハビリテーションガイド』
(診断と治療社/1,900円+税/2013年12月)
「うん? リハビリテーション?」と思いますが、ここでは「発達支援」の意味です。著者の山本氏は、長野医療技術専門学校 教務部 理学療法科の副学長。身体だけでなく、言語や知能・情緒・社会性も含め、ダウン症のある人の全体的な発達について触れています。第4章では「青年期以降の支援」として、生活の自立、就労、加齢なども取り上げています。

『出生前診断とわたしたち ー「新型出生前診断」(NIPT)が問いかけるもの』
(生活書院/2,200円+税/2014年7月)
臨床心理士でダウン症のあるお子さんをもつ玉井真理子氏と、2014年3月のJDS主催写真展「ダウン症 家族のまなざし」の企画者である渡部麻衣子氏がタッグを組んで発表した本。お二人のほかに、二階堂祐子氏がアメリカの事例を、小椋宗一郎氏がドイツの事例を紹介されています。
【本の帯より】
着床前診断が目指した<早期化>と母体血清マーカー検査がもくろんだ<大衆化>、ある意味でそれらが合体した「新型出生前診断」(NIPT)には、新しい問題と新しくもない問題が混在している。

『たちばなさんちの長男坊 ユンタのゆっくり成長期』
(双葉社/1,000円+税/2014年8月)
第一作『ユンタのゆっくり成長期 ダウン症児を育てています。』を読まれた方も多いことと思います。待望の続編が2014年8月に出版されました。
ユンタくんがもうすぐ6歳になる頃から7歳になったところまで、保育園の卒園や小学校の入学も含めて、ユンタくんのこと、家族のことが母親の目線で、インパクトのあるマンガによって描かれています。

『ダウン症児の母親です! 毎日の生活と支援、こうなってる』
(講談社/1,100円+税/2014年8月)
「『子どもの障害の種類や重さにかかわらず、一人でも多くの障害児ママさんと、リアルな育児所感を共有したい!』という願いをこめて書いたノンフィクションエッセイです」と著者。
ダウン症のある子どもとの暮らしや母親の気持ちが素直に書かれています。専門家との一問一答も参考になります。
【構 成】
第1章:生まれてから保育園まで
第2章:保育園の頃の毎日
第3章:就学
してからのこと
第4章:障害児ママとして思うこと
第5章:ユンタときょうだいのこと
第6章:これからの不安と希望


『Happy Birthday 大丈夫、生まれておいで ー[光とともに…]が遺したものー』
(秋田書店/900円+税/2014年6月)
ダウン症のある悠人くんが生まれてから一般就労して社会人として成長していくまでを丹念に描いた書籍扱いのコミック。
月刊の女性漫画雑誌「フォアミセス」に掲載された3編・3号分をまとめた内容です。
現場への綿密な取材をもとに、とてもきめ細かく、家族や学校、社会とのかかわりなどが描かれています。
2014年9月3日発売の「フォアミセス」10月号には、続編が掲載されています。
【「フォアミセス」での初出】
誕生編(2014年2月号)、就労編/前編(2014年3月号)、就労編/後編(2014年4月号)

『お母様 大好き』
(いきいき株式会社出版局/1,200円+税/2014年3月)
本書は、書き下ろしと、雑誌『いきいき』2103年3月号から2014年2月号まで連載された「言葉の窓」から編集されています。
翔子さんの17篇の書と、お母様・泰子さんの解説、そして懐かしい写真、現在の翔子さんと泰子さんの写真で構成されていて、すっと素直に心に訴えかけるものがあります。
初めての銀座での書展から10年。ゆっくりと成長し続けている翔子さんの力を感じます。

『知的障害者のためのアセスメントと個別支援計画の手引き
一人ひとりの支援ニーズと支援サービス』
(日本知的障害者福祉協会 出版部/2,000円+税/2013年12月)
現場で役立つ計画作成のヒントや参考となる事例が掲載されています。
さらに“新任職員の浅田さん”を主人公に、ストーリーに沿って、個別支援計画を学ぶことのできる内容になっています。
個別支援計画作成に携わる現場職員の皆様におすすめの一冊です。

『せいなるよるのたからもの』
(新教出版社/1,300円+税/2013年10月)
出生前検査のことを題材にした絵本。初めての妊娠を喜んでいる夫婦がいます。
【以下、本文より】
「そんなあるひ 『けんさを うけないの?』『うけたら あんしんだよ』 いろんなひとから そういわれて ママは びょういんで けんさを うけた。そうしたら……」。
お腹の赤ちゃんに障害があると告げられますが、二人は悩んだ末、生む決心をします。クリスマスの夜に生まれた「聖也」くんは、文中には書かれてはいませんが、ダウン症があることが絵からわかります。玉井邦夫JDS代表理事が解説を書いています。

『生まれてこないほうがいい命なんてない ー「出生前診断」によせて』
(かもがわ出版/1,200円+税/2014年2月)
岩元綾さんが2014年2月下旬に新しい本を出されます。
【以下、読売新聞鹿児島版より抜粋】
岩元さんは「自分もダウン症に差別感を持っていたが、両親から『胸を張ってあなたらしく生きて』と言われ、気が楽になった」と振り返る。妊婦の採血で胎児のダウン症などの病気が高い精度でわかる新型出生前診断について、「診断で命の選別をするより、全ての人が生きやすい社会をつくりたい」と記している。

『新型出生前診断と「命の選択」』
(祥伝社新書/780円+税/2013年7月)
メディアによく登場し幅広く活躍している精神科医の香山さんがなぜ「出生前診断」?
実は、彼女の実家は産婦人科の開業医で、物心がついたときから「生」を身近に感じて育ったということです。
また、この問題で悩みを抱える人たちを診てもいるそうです。
「命の選択」について今どうなっているのか、どうやって決めればよいのかーーとうてい答えがひとつに絞りきれるはずはないけれど考えてみたいと、真摯に向き合っています。

『慟哭の家』
(ポプラ社/1,600+税/2013年2月)
2002年に『非情銀行』で小説家デビューした元銀行マンで、骨太な経済小説に定評がある江上さん。
『帝都を復興せよ』など、現代日本が抱える問題を踏まえた作品も多く出されています。
本書は、ダウン症のある子と妻を夫が殺害した家族を取り上げたフィクション作品です(実際の事件ではありません)。
最後の謝辞には「本書が少しでもダウン症などの障害について、社会の理解を深める一助になれば幸いです」と記されています。

『いのちを選ぶ社会 ー出生前診断のいまー』
(NHK出版/1,500円+税/2013年12月)
【本書の帯より】
「新型出生前検査が日本に上陸ーー。子どもを産むことが幸せな体験であり続けるには? 誰もが差別されずに生きていくには? NHKプロデューサーが悩みながらその答えを探る、リアルでしなやかなリポート」。
著者の坂井さんは、1990年代の「母体血清マーカー」問題当時からダウン症のある人たちに目を向け、社会に問題提起をする形で番組づくりを進めてくださっている敏腕プロデューサー。いのちの選択という大きな問題を取り上げ、「記録する」ことを使命として、国内外の現状が整理してあります。
【構 成】
第1章:新型検査の上陸<2012年・日本>
第2章:出生前検査が浸透した国<2013年・フランス>
第3章:スクリーニングの歴史と思想
第4章:日本が歩んだ道 第4章:どんな社会をつくってゆくのか
【注:第4章では、JDSと京都・広島の親の会の動き、厚生省(当時)の動きが克明に
記されています】

『トゥエンティファースト』
(自費出版/税込みで800円+実費送料/2011年8月)
この小説は、ダウン症のある「桃子」が主人公のフィクション。桃子が20歳を越えてから健常者になるために手術を受けるという、衝撃的な内容です。手術が成功した後、果たして桃子は……。
■購入を希望される場合は、直接、加藤さんにご連絡ください。
tatsuo.k@kuf.biglobe.ne.jp
【著者より】
(注:2013年12月の時点で)私は38歳のダウンのある妹・敦子をもつ41歳の兄です。2年前に妹をモデルにした小説『トゥエンティファースト』(“21歳”の意味)を書きました。作家歴としては、2008年に洋泉社から『この世のすべては私のもの』、2010年に幻冬舎から『躁病見聞録』を出版しています。
『トゥエンティファースト』には、ダウン症のある妹と兄として関わってきた私の半生が、小説という形で描かれています。「ダウン症の妹が手術により健常者になったらどうなるか」という設定で、ダウン症者の特徴と困難、家族が感じる喜びや痛みなどを、兄の視点から表現した作品です。
出生前診断などが問題となっている昨今、ダウン症をもって生まれてきてよかったと思えるような、そんな作品づくりを心掛けました。私は大学時代を除いて、ずっと妹と生活を共にしてきました。その中から感じたことや考えたこと、疑問に思ったことなどを形にするよう努めた次第です。無論、同居する両親の気持ちも、できる限り代弁したつもりです。
ダウン症のあるお子さんが生まれたばかりのご家族や、広く“ダウン症”に関わるすべての人に読んでいただければ幸いです。

『哲学する<父(わたし)>たちの語らい
ダウン症・自閉症の<娘(あなた)>との暮らし』
(生活思想社/1,800円+税/2013年10月)
著者のお二人は、共に大学の教員で、ヘーゲルなどドイツ哲学や現代思想の研究者。
竹内さんにダウン症のあるお嬢さん、藤原さんに自閉症のあるお嬢さんがいることで、この本が誕生しました。
「哲学」と「障害」のかかわりとは、いかに?!
【以下、本の帯より】
「ーかかわりから生まれる力? 困った! たいへんだ! を他者とのかかわりで楽しいこと・できることにチェンジ! バタバタだけど、楽しくも嬉しくもある娘との生活が、哲学する父たちを変える」

『「出生前診断」を迷うあなたへ ー子どもを選ばないことを選ぶー』
(講談社+α文庫/税込725円/2013年9月)
「子どもに障害があることは、その事実があるだけのこと。恥じることでも、子どもがかわいそうなことでもありません」
ーー表紙の言葉が目に飛び込んできます。本書は、2003年に刊行された大野さん著『子どもを選ばないことを選ぶ』(メディカ出版)に加筆修正のうえで文庫化されたもの。
新しい出生前診断が4月(注:2013年)から臨床研究として始まった今だからこそ、広く読んでほしい内容です。

『アイちゃんのいる教室』
(偕成社/1,200円+税/2013年4月)
高倉さんが書かれている表紙の折り返し部分の言葉に心打たれます。
「大きくなっていく いきかたは、みんな、ちがうんだよ。アイちゃんは、アイちゃん:取材でたくさん聞いた言葉です。なんて力強い響きなんだろうと思います」。
この本は、仙台市の小学校を舞台に、アイちゃんと通常学級の子どもたちが過ごす日常を描いた読売新聞宮城版の連載が基になっています。
漢字にはすべて読み仮名がふってあります。子どもたちにもぜひ読んでほしい本!

『ダウン症児をたくましく育てる教育実践
ー学校現場からのデータ&テクニックー』
(田研出版/2,000円+税/2013年6月)
宮城教育大学附属特別支援学校教諭(教務主任)の佐藤先生が、ご自身が「のどから手が出るくらい欲しかった」という“現場で使えるデータ”、そして“次の日から使える実践例”を盛り込んだ素晴らしい本を出版されました。
<以下、佐藤先生より>
「内容は若い教師向けのものではありますが、保護者の皆様にも読んでいただけるように難しい用語を極力使わないように努めました」。
お子さんの担任の先生へぜひ情報を!

『ダウン症のぼくから 〜おなかの中からのメッセージ〜』
(田研出版/2,000円+税/2013年6月)
ダウン症のある胎児からのメッセージという画期的な絵本。
制作の中心になった安藤忠先生は、財団法人「子供の城協会」理事長で、長年「ダウン症」に関わってくださっています。
最後の頁で「ねぇ、ぼくたちうまれちゃいけないの?」と怒りを爆発させる絵は必見!!

『ダウン症ハンドブック 改訂版
ー家庭や学校・施設で取り組む療育・教育・支援プログラムー』
(日本文化科学社/2,400円+税/2013年3月)
『ダウン症ハンドブック』刊行から8年を経て改訂版が刊行されました!
「はじめに」にある通り、三十数年に及ぶ日本でのダウン症についての研究やその成果の全てを目次に入れ込んだと言っても過言ではない、充実した内容になっています。ダウン症のあるお子さんの年齢を問わず、常に側に置いておきたい図書です!!
<本書はJDSで販売していますので、ご希望の方はメール・FAX・電話でご連絡ください。アマゾン等のネット通販でも販売中
※書店での取り扱いはありません。>

『ユンタのゆっくり成長記 ーダウン症児を育てています。ー』
(双葉社/952円+税/2013年1月)
ダウン症のある息子・ユンタくんと、ママ漫画家・たちばなかおるさんの、ちょっとレアな子育てエッセイコミックです。
「たちばな家には、ユンタを筆頭に、やんちゃ盛りの男の子が3人。
泣き笑いのバロメーターふくきれまくりのハイテンションな毎日です。」と帯に書かれているように、思わず、たちばな家の日常に引き込まれます。
笑えるだけでなく、6種類のコラム「ユンタのゆっくりこぼれ話」は、なかなか読ませる内容です。ダウン症のあるお子さんを育てているご両親やご家族以外の方も、泣き笑いできること間違いなしの育児奮闘記です。

『手をつなぐ親たち ー精神薄弱児をまもるためにー』
(国土社/1,000円+税/2012年10月)
「全日本手をつなぐ育成会」の前身である「精神薄弱児育成会」が、昭和27年に結成されました。その会結成後、初の事業が、この本の発行でした。日本において、まさにここから、知的に障がいがある人たちの生きる権利を守るための闘いが始まりました。
以下「復刻版刊行にあたって」より。
昭和27年7月「あなたのお子さんが存在していることはあなたにとっても、また他のすべての子どもたちにとっても意義のあることなのです」と語るパール・バックの言葉(著書『母よ嘆くなかれ』)に励まされ、また、戦後の新憲法の基本的人権の尊重という理念に後押しされ、知的障害の子をもつ親たちはいわれなき差別に抗して、この子らの人としての幸せを願い、親の会(「精神薄弱児育成会」)を結成しました。会結成後の最初の事業として出版された本書は、当時、新聞にも大きく取り上げられ、また、NHKラジオの「私の本棚」で朗読放送され、全国に大きな反響をまきおこし、1万部のベストセラーとなりました。
<以下、省略>
(注)障害者基本法など32の法律で使われていた「精神薄弱」という表現は、1999年4月から「知的障害」に改められました。

『子どもの発達にあわせて教える1
イラストでわかるステップアップ 食事編』
(双葉社/952円+税/2013年1月)
発達につまずきのある子どもに教えるためのシリーズ本が出版されました。
「日々、子どもたちと保護者に接している療育スタッフが、社会的自立に必要な生活技術を教えるときの方法や工夫を具体的な場面に即して紹介します」とあるように、イラストを使い分かりやすく書かれています。
食事編から2排泄・清潔編じゃらスタートし、3着脱編・4手・指の使い方編・5お手伝い編・6社会生活編が順次、発行される予定です。

『ことばが生まれるとき』
(かもがわ出版/1,200円+税/2012年1月)
岩元綾さんの最新刊のこの本には、綾さん自身の真摯なことばで、「命」の大切さについて書かれています。
そこから抜粋します。
【命の重さ】
(前略)いらない命なんてない ダウン症の人も、鮮やかな美しい色づかいで、すばらしい絵を描くではないか 溢れるようなやさしい音色で、音楽を奏で、歌うではないか (中略)「みんな同じ人間、同じ命、命の重さに変わりはない! 両親には“生んでくれてありがとう”と言いたい!」(後略)

(社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会/200円/2010年11月初版発行・2011年第3刷)
“虐待”と聞くと、すさまじい場面を思い浮かべがちですが、この冊子をめくると「うん? これって経験あるなあ」とか「いけないと思いながらも、ついつい言ってるなあ」と思い当たる節があります。まずは家庭から考えてみませんか。「虐待の芽チェックシート」もありますので、トライしてみてください。
障害者虐待防止法(正式名称は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」)が2011年6月に成立し、2012 年10月から施行されました。社会的弱者の虐待に関する法律としては、児童虐待防止法(2000年11月施行)、高齢者虐待防止法(2006年4月施行)に続く法律。これらの法律が成立した背景には、社会的弱者への虐待が後を絶たない現実があります。
<以下、まえがきより抜粋>
私たち親は、障害のあるわが子をとにかく自立させなければと急かされ、脅される気持ちに、いつもつきまとわれています。「これはしつけなんだ」「愛情なんだ」とはき違えたまま、知らず知らずのうちに“不適切な対応”をしてしまうこともしばしばあります。実は、これが虐待への入り口でもあるのです。
育成会から『みんなで知ろう・考えよう 障害者虐待防止法』(500円+税/2012年2月)も発行されています。
★全日本手をつなぐ育成会発行の冊子・書籍をご希望の方は直接、
以下へご連絡ください。
TEL 03−3431−0668 FAX 03−3578−6935
HPからも申し込めます。
http://www.ikuseikai-pan.jp/books/order/

『あなたとわたし わたしとあなた ー知的障害者からのメッセージー』
(小学館/1,400円+税/2012年1月)
「障害の有無に関わらず、誰もが当たり前に暮らせる社会」を目指して、東京都渋谷区恵比寿に「ぱれっと」が誕生したのは、今から約30年前。1985年には、自分たちでクッキーを製造し販売するビジネスを立ち上げた、まさに先駆者的存在が、ここ「ぱれっと」です(2002年からNPO法人に)。美味しい商品を生み出すことに誇りを持って取り組んでいまし、コーヒーショップやレストランもあります。2010年には、障害者と健常者が共に暮らす「ぱれっとの家 いこっと」も誕生。 仕事や生活、余暇を楽しむ人たちの飾らない日常が、思わずハッとさせられる文章と、愛に満ちたポートレートで綴られています。充実した生活が伝わってきて「みんな幸せそうだなあ」と心が温かくなります。

『ハッピーバースデイ3.11 ーあの日、被災地で生まれた子どもたちと家族の物語ー』
(飛鳥新社/1,200円+税/2012年3月)
文章を書かれた並河さんは、昨年の4月初旬、ボランティア活動のために宮城県に入り、そこで偶然、大震災の日に生まれた子のことを耳にします。そこから、この「ハッピーバースデイ3.11プロジェクト」が始まりました。日本ユニセフ協会の後援で、インターネットで動画が流され、写真展が開催され、今回の出版に繋がっていきます。
紹介された11人のお子さんとそのご家族の中に、ダウン症のある佐藤春晴(はるせ)くんもいます。あの日、予定より1カ月も早く、午前4時過ぎに誕生。家族は仕事を休んで病院にかけつけ、難を逃れたそうです。「この子に命を救ってもらったと感謝しています。本当に、何かを感じて生まれてきてくれたのかなと思います。奇跡、ですよね」
とのお父さんの言葉に心を打たれます。
<ハッピーバースデイ3.11ウェブサイト http://happybirthday311.jp/>

『“ダウン症”を算数好きに! 可能性への挑戦 ー「水道方式」との相性のよさー』
(飛鳥新社/1,200円+税/2012年3月)
遠山真学塾は、故遠山啓さん(数学者で数学教育の分野で有名)の教えを基にした東京都武蔵野市にある学習塾。学ぶことにハンディをもった子どもや若者たちが、算数や数学を中心に、一人ひとりに合ったペースで学んでいます。「水道方式」と呼ばれる方法をベースにしていて、四角いタイルを教具とし、タイルを目で見て手で操作しながら位取りの原理や計算の仕組みを理解する学習法です。 総じて、ダウン症のある人たちは“数が苦手です。各々個性がありますので、どんな勉強方法がいいかは一概には言えませんが、一つの方法として参考にしてください。
<この冊子をご希望の方は遠山真学塾へ
TEL 042-54-4709 FAX 0422-54-4425 : 500円+送料>